漢方薬は自然由来の生薬でできているので、即効性はなくゆっくり効いていくというイメージが強いです。
多くの漢方薬は、飲み続けることで少しずつ効果が現れ、身体の調子がよくなっていきます。
しかし、すべてがゆっくり効くのではなく、即効性のある漢方薬もあります。
ここではゆっくり効く漢方薬とすばやく効く漢方薬についてご紹介します。
症状にすぐに効く漢方薬
風邪や腹痛のときに漢方薬がすぐに効いて症状が和らいだという場合もよくあります。
風邪には、桂枝湯や麻黄湯、葛根湯などがよく使われ、これらは発汗を促進して患者自身の自然治癒力を高める効果があるため、比較的素早く効果が現れます。
インフルエンザに対して、麻黄湯と抗ウイルス薬とを比較したところ、熱が下がって症状がなくなるまでの時間はほとんど変わらなかったという報告もあるようです。
それ以外にも花粉症やこむら返りなどについて、症状がすぐにおさまったという例もあります。
漢方薬の形によって効き方が違う
漢方薬は、薬の形状によっても効果が現れるまでの時間が違ってきます。
葛根湯、安中散、麻子仁丸など、名前から形状が分かる漢方薬も多いです。
湯剤
湯剤は煎じた液状の薬のことで、急性の症状や効き目が早く現れてほしい場合に使います。
散剤
散剤は粉末状の薬のことで、比較的進行が遅い病気によく使います。
丸剤
丸剤は固形の薬のことで、進行がとても遅い病気に使います。
即効性の漢方薬と遅効性の漢方薬の違い
すばやく効く漢方薬とゆっくり効く漢方薬の性質や代表的な漢方薬、特徴などについてまとめます。
すばやく効く即効性の漢方薬
漢方薬の性質
すばやく効く漢方薬は、瀉剤(しゃざい)と呼ばれます。
瀉剤とは、病気や症状の原因に直接作用する薬のことで、即効性があります。
代表的な漢方薬と効く症状
麻黄湯(まおうとう)…悪寒、発熱、関節痛、せき、汗が出ない
葛根湯(かっこんとう)…風邪、扁桃炎、中耳炎、肩こり、神経痛
桂枝湯(けいしとう)…頭痛、発熱、発汗
大承気湯(だいじょうきとう)…便秘、お腹の張り、腹痛
特徴や注意点
即効性なので、急性の病気に短期間で使います。
長く使うと副作用が現れることがあるので注意が必要です。
ゆっくり効く遅効性の漢方薬
漢方薬の性質
ゆっくり効く漢方薬は、補剤(ほざい)と呼ばれます。
補剤とは、補うことで治療に結びつく薬で、体に足りないものを補うことで、免疫力や自己治癒力を高める効果があります。
そのため、継続的に飲むことでゆっくり効果が出てきます。
代表的な漢方薬と効く症状
補中益気湯(ほっちゅうえっきとう)…虚弱体質、食欲不振、微熱、倦怠感
六君子湯(りっくんしとう)…胃腸虚弱、食欲不振、疲れやすい、食後に眠くなる
八味地黄丸(はちみじおうがん)…手足の冷え、ほてり、口の乾き、尿量の減少または増加
特徴や注意点
ゆっくり効くため、最低でも2週間以上服用を続ける必要があります。