香砂六君子湯とは

香砂六君子湯は、胃腸が弱って元気が出ない人に力をつける漢方薬です。滋養溢れる生薬を多数配合した贅沢な処方となっています。主に胃の痛みや消化不良などに効果があります。

「六君子湯」という有名な胃腸漢方薬に香附子、縮砂、藿香といった芳香性の生薬を追加して、ふさがった気分を晴らす作用を付加したことが特徴です。そのため「憂鬱で食欲がない」「気分がすぐれず吐き気がする」といった、精神面を伴う不調にも効果が期待できます。

胃内の余計な水分を去る利水作用にも優れ、六君子湯の持つ効能をさらに強化した処方と言えます。

香砂六君子湯の生薬について

・人参(ニンジン)…いわゆるチョウセンニンジンで、滋養強壮薬として名高い生薬のひとつです。高い疲労回復作用があります。その他新陳代謝機能の改善、消化不良、嘔吐、下痢、食欲不振に効果があります。

・白朮(ビャクジュツ)…オケラまたはオオバナオケラの根茎です。健胃作用、強壮作用、止瀉作用、利尿作用があり、特に胃腸の強壮薬として働きます。(白朮の代わりに蒼朮(ソウジュツ)が用いられることもあります)

・茯苓(ブクリョウ)…マツホドの菌核を輪切りにしたものです。利水作用に優れ、体内の水分バランスを調整します。

・半夏(ハンゲ)…カラスビシャクの根茎です。鎮吐作用、去痰作用があり、特に胃が弱い人の嘔吐を鎮め胃を強くする手助けをします

・陳皮(チンピ)…柑橘類の果皮を陰干しにして1年たったものです。健胃、鎮吐、鎮咳、去痰作用があり、気を整える生薬として広く使われています。

・香附子(コウブシ)…ハマスゲという植物の根茎です。名前の通り良い香りがします。健胃、新陳代謝促進、神経症改善作用があります。

・大棗(タイソウ)…ナツメの果実です。強壮作用、鎮痛作用があり、胃腸の調子を整えて心を落ち着かせます。一緒に配合される他の生薬の作用を調和させる働きもあります。

・生姜(ショウキョウ)…食卓でも身体を温める食材としておなじみのショウガです。健胃、発汗、食欲増進作用があり、身体を温めます。

・甘草(カンゾウ)…マメ科カンゾウの根を乾燥させたものです。鎮痛、鎮痙作用があり、炎症を和らげ緊張を緩和させます。

・縮砂(シュクシャ)…ショウガ科の植物の種子塊で、芳香があり、胃腸の働きを改善します。

・藿香(カッコウ)…「パチョリ」と呼ばれる、アロマ界にも欠かせない植物です。制吐作用、健胃作用、解熱作用を持ちます。

香砂六君子湯の効能

胃腸の虚弱を補い消化器官を元気にすることで、胃炎や食欲不振、消化不良など胃の不調全般を解消するというのが香砂六君子湯の基本的な方意です。

人参、白朮、茯苓、大棗、甘草は気力体力を養うのに効果的な生薬であり、疲れやすく弱った消化器官によく効きます(補気)。

そこに香気があり発散作用のある香附子、縮砂、藿香が加わることで、「補気」だけでなく「理気(停滞したエネルギーを流れるようにする)」の効果も高まり、特に胸のあたりにつかえる感じがあるとか、嘔吐感がある、また気分が憂鬱といった「気うつ」の症状を晴らしてくれます。

漢方では胃腸を含む消化吸収器官全体を「脾」と呼びますが、実は「脾」は「思い悩む気持ち」と深いつながりがあるのです。気分がふさがると、胃腸は元気をなくします。また胃腸が元気をなくしているから気持ちが憂鬱、ということもありえます。だから、その両面をケアしてくれる香砂六君子湯の処方はとても合理的です。

香砂六君子湯の使用法

「湯」は煎じ薬の意味で、もともとは生薬を煮出して飲んでいましたが、現在では濃縮乾燥させた「エキス剤」が主流です。煎じる手間がなく、手軽に服用を続けられます。医師に処方された1日量を3回に分けて食前または食間、つまり基本的には空腹時に服用します。

副作用などはあるか

基本的には医師の指示に従って服用する限り重篤な副作用の心配はありません。

ただし、甘草に含まれる「グリチルリチン酸」は過剰摂取によって「偽アルドステロン症」を起こすことがあります。長期にわたって服用する場合はむくみや高血圧の症状が出ないかよく観察し、心配があれば医師に相談してください。

清肌安蛔湯とはどんな漢方薬なのか

清肌安蛔湯(せいきあんかいとう)とは回虫、いわゆる寄生虫の駆除に使われる虫下しの漢方薬です。回虫は体内で移動するため、回虫が暴れる場所によって症状が変化しますが、清肌安蛔湯はわき腹からみぞおちあたりにかけて症状が現れるものを対象としています。

配合されている生薬は以下の通りです。

柴胡(さいこ)……解熱作用、鎮静作用、解毒作用などがある。
麦門冬(ばくもんどう)……解熱作用、鎮咳作用、去痰作用、強壮作用などがある。
半夏(はんげ)……止嘔作用、去痰作用、鎮静作用、鎮痙作用などがある。
黄芩(おうごん)……消炎作用、清熱作用、抗菌作用、解毒作用などがある。
生姜(しょうきょう)……発汗作用、健胃(※胃の機能を正常にする)作用、鎮吐作用などがある。
甘草(かんぞう)……健胃作用、鎮痛作用、鎮痙作用、去痰作用などがある。
人参(にんじん)……強壮(※身体に活力を与える)作用、健脾(※脾胃の機能を正常にする)作用などがある。
海人草(まくり)……駆虫作用がある。

清肌安蛔湯に使われている海人草は古くから虫下しとして用いられており、体内の寄生中を最初興奮させたのち麻痺させる効果があるカイニン酸という成分が含まれた生薬です。
駆虫作用のある海人草に痛みや吐き気を抑え胃腸の状態を改善させる効果のある生薬が配合されることにより、体内の回虫駆除と共に回虫による諸症状を緩和・改善させることを目的として構成された漢方薬です。

清肌安蛔湯とは何の症状に効く漢方薬なのか

清肌安蛔湯の効能は主に体内に感染した回虫の駆除に用いられます。回虫は体内で移動するため、症状の出方もさまざまです。
清肌安蛔湯はある程度体力のある方を対象としており、回虫による症状のうち、わき腹からみぞおちあたりにかけて痛みや苦しさが強く表れており、口の中に苦い味があり、食欲不振も生じている状態に対して用いられます。

回虫は人間に感染するとその小腸に寄生します。小腸で大人しくしているうちは目立った症状が出ないことも多いのですが、場合によって吐き気や嘔吐、腹痛といった症状が出ることがあります。また、孵化した幼虫がほかの内臓器官に侵入することでもさまざまな症状が発生するようになります。例えば肺に侵入された場合、発熱、咳、喘鳴といった症状が生じ、膵管へ侵入された場合虫垂炎が生じることもあります。
回虫の感染は気付くことが難しく、排泄物の中から発見されたり、病院の検査で明らかになるといった場合が多いようです。
感染への対策としては食材をしっかりと洗う事、もしくは加熱調理することが望ましいです。

清肌安蛔湯とはどのように使うものか

清肌安蛔湯を煎じたものを食間もしくは食前に服用します。
なお、服用する際は安易に自己判断せず医師の診断を仰ぎ、用法用量を守って正しく使うようにしてください。

副作用はあるのか

他の内服薬との併用による配合成分の大量摂取によって副作用が生じることがあります。
加えて、個人によって体質に合わなかったり、アレルギー反応などが出ることもあるかと思います。実際に使用してみて何か異常を感じた場合にはすぐに使用を止め、処方した医師や薬剤師に相談するようにしてください。