ものもらいなどの眼病に試してみたい漢方薬「蒸眼一方」

蒸眼一方は名前に「眼」の文字が入っていることからもわかるように主に眼病に用いられる薬です。

配合されている生薬は以下の通りです。

黄柏(おうばく)……消炎作用、清熱作用、解毒作用などがある。

黄連(おうれん)……消炎作用、鎮静作用、抗菌・ウィルス作用などがある。

甘草(かんぞう)……鎮痛作用、鎮痙作用、解毒作用、抗菌・ウィルス作用などがある。

紅花(こうか)……活血作用、止痛作用、抗菌・ウィルス作用などがある。

白礬(はくばん)……開竅(※血管などを広げる)作用、止血作用などがある。

これらの効能から鑑みると、目の外傷や感染症、それらから派生する疾患に対して効果を発揮する生薬が中心ですね。

また、通常の皮膚と違い目やその周囲というのは非常にデリケートな場所ですので、それを考慮した配合になっています。

蒸眼一方とは何の症状に効く漢方薬なのか

蒸眼一方の効能は主に「はやりめ」「ものもらい」「ただれめ」に用いられます。

これらは普段耳にすることも多い馴染みの病名ではありますが、それぞれどのような疾病か簡単に説明させて頂きます。

はやりめとは正式名称を「流行性角結膜炎」といいます。アデノウィルスというウィルスが原因で起こるウィルス性の結膜炎です。

アデノウィルスとは子供が外でプールに入ったり、感染者と同じタオルを一緒に使うなどするとそれだけで感染してしまう非常に感染力の強い流行性ウィルスです。感染すると1~2週間ほどの潜伏期間のあと、結膜炎や角膜炎、あるいはその両方を発病します。

ものもらいとは正式名称を「霰粒腫」(さんりゅうしゅ)」、または「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」といいます。どちらもものもらいとして一括りにされることが多いのですが、実はこの2つは別の疾患です。

霰粒腫とはまつげにある「マイボーム腺」という目に油を分泌する穴やまつげの脂腺が詰まってしまった状態で、ひどくなると炎症を起こして痛みを発するようになります。

対して、麦粒腫の原因は黄色ブドウ球菌の感染により起こります。痛みや痒みを生じやすく、それを汚れた手で擦るとさらに状態が悪化してしまうので注意が必要です。

なお、霰粒腫は無菌性の疾患ですが、そこから細菌感染することもあり、最終的に麦粒腫と似た状態になることも多いです。

ただれめとは正式名称を「眼瞼縁炎(がんけんえんえん)」という、まぶたの縁の炎症です。まぶたに湿疹ができ、赤く腫れ、痛みや痒みを引き起こします。また、皮膚が破れてカサブタになったりするなどして、皮膚がカサカサになったりすることもあります。

原因は黄色ブドウ球菌などの細菌感染だけでなく、アイシャドーやマスカラなどの化粧品によるアレルギーや、ビタミン不足などさまざまです。

蒸眼一方とはどのように使うものか

蒸眼一方を煎じたもので洗眼を行う方法と湿布布として使う方法が一般的です。

薬でよく洗い、湿布布で蓋をする。あとは清潔第一としてむやみに触らないというのは眼病治療の定番ですね。

とはいえ、症状によって使用方法は異なることがあるかと思います。使用の際には処方した医師や薬剤師に用法・用量と共に使用方法を確認して正しくお使いください。

副作用などはあるか

内服するものではありませんし、上記の使用をする分には特に副作用などはないかと思います。しかし、個人によって体質に合わなかったり、アレルギー反応などが出ないとは限りません。実際に使用してみて何か異常を感じた場合にはすぐに使用を止め、医師や薬剤師に相談するようにしてください。

やけどや傷に、外用漢方薬の王「紫雲膏」

紫雲膏は、切り傷・擦り傷、やけど、痔、褥瘡といった、皮膚の外傷に用いる漢方薬です。乾燥によって酷くなるタイプのアトピーにも適応できます。

外用の漢方薬の中ではおそらく最も有名で、「漢方薬の傷薬」といえば紫雲膏、ドラッグストアなどでも手軽に手に入ります。独特な匂いがしますが、これは基材として使われている胡麻油と豚脂のため。また、見たこともないような赤紫色の正体は「紫根」と「当帰」という2種類の生薬です。傷に起こった炎症や腫れを鎮めて痛みをとりつつ、皮膚の再生を助けます。

血流をよくする作用があるため「ジクジク」した皮膚症状には用いませんが、それ意外の皮膚症状に対しては幅広く応用が効きます。軽いやけどや傷ならば痛みがすぐ取れて傷跡も残りにくいと言われ、西洋薬に決して劣らない実力を持っていると分かります。

紫雲膏の生薬について

・紫根(シコン)…清熱、解熱、解熱作用を持ち、発疹や腫れ物、鼻血などを落ち着けます。美肌作用があるとして近年化粧水にも用いられている生薬です。

・当帰(トウキ)…婦人科系の漢方薬にはよく配合されています。血を養い血行をよくする働きがあり、冷えや月経痛などに有効ですが、婦人科系領域に限らず駆瘀血薬、活血薬として、鎮痛や強壮に役立っています。

・胡麻油…食用にも用いている胡麻油ですが、腸や肌を潤す作用を持っています。紫雲膏の基材の1つです。

・ミツロウ…ミツバチの巣から得られるロウ状の物質を精製したものです。解毒や生肌作用を持ち、皮膚に用いる薬の基材として使用されます。紫雲膏においては軟膏の硬さを調整する役割も持ちます。化粧水にも配合されていることがあります。

・豚脂(トンシ)…字の通り豚の脂なのですが、漢方においては立派に1つの生薬です。潤いをもたらす効果があり、外用すればひび、しもやけ、あかぎれなどに効果があります。

紫雲膏の効能

紫雲膏はやけどや傷、痔や褥瘡といった「外傷」以外にも、乾燥性のアトピー、しもやけ、いぼ、うおのめなど、化膿を伴わない皮膚症状になら幅広く適応できます。

紫雲膏による治療の軸は「血流を良くする」「皮下の熱(炎症や腫れ)を取り除く」この2つの効能です。血行が良くなることで増悪する可能性のある症状には使えません。温まると痒くなるタイプのアトピーの方や、傷が化膿を伴っている方は使用をさけたほうがいいでしょう。

とはいえあらゆる不調にとって「血のめぐり」はとても大切なもの。栄養と潤いのもとである血がきちんとめぐることにより、異常を治す環境が整います。

紫雲膏において、その役割をするのが「当帰」です。傷を負うとその部分に血が滞り、痛みを生じるのですが、それを緩和する働きもあります。そして君薬である「紫根」が傷の周りに滞った血がもたらす熱を冷まし、炎症を鎮めて皮下の毒を解毒します(現代医学的には抗菌作用を持つことが分かっていますす)。

皮膚と傷周辺の環境を総合的に整えて身体が持つ回復力を高め、それによって傷の治りを早くする。これが紫雲膏の「効く仕組み」です。

紫雲膏の使用法

煎じ薬を経口服用するパターンが漢方薬には多いのですが、紫雲膏は外用薬になります。軟膏を傷に直接塗布してください。胡麻油や豚脂を基材にした薬なので、塗布しようとするところの水分はよく拭き取らないと馴染みません。また、洋服に着くと特有の赤い色が移って落ちづらくなるため、必ず「薄く伸ばして」塗るようにしてください。ベタつきが気になる場合は、紫雲膏をリント布に塗布してからそれを患部に貼り、包帯を巻きます。

副作用などはあるか

まれに「過敏症」といって、薬によるかゆみや発疹が現れる場合があります。その場合はすぐに洗い流し、医師に相談してください。

また、アトピーに使用する場合、赤みやかゆみが強い時に使うと血行促進作用により症状が悪化する恐れがあります。炎症や化膿がひどいアトピーには使用をさけたほうが無難です。赤みはないが、カサカサとしてかゆいアトピーには紫雲膏が適合します。