私たちは普段呼吸している空気には細菌やウイルス、アレルギーを引き起こす物質やほこり等さまざまな物質が存在しています。

それらが気道内に入ると、体内に入らないように”咳”として排出されます。
しかし咳は多く出過ぎることで様々な悪影響も起こります。

咳の影響

●体力が消耗する

咳は1回毎に約2kcal消費します。
そのため咳が止まらないときにも早めの処置が必要です。

●自然治癒力の低下

咳は起きているときだけではなく、寝ている間にも出ることで質の良い睡眠ができなくなります。

すると自然治癒力も低下して回復が遅れることがあります。

●他の病気も引き起こす

咳が長く続くと頭痛、不整脈、尿失禁、高齢者では肋骨が折れることもあります。
また悪化すると肺炎・喘息等の重い症状に繋がることもあります。

諸症状を発症させないためにも咳の症状は早めに治しましょう。

咳止め

西洋医学での咳止めには、気管支等に直接作用して咳を抑えるる作用があります。
一方で、漢方では咳を止めることに重点を置かずに、体の状態を元に戻すことを目標に治療します。

そのため漢方の作用は比較的遅いです。

酷い咳は体力消耗の他にも睡眠障害・食欲不振を引き起こすこともあります。
漢方は医者の指示に従って西洋医学の咳止めとうまく合わせて服用するのがおすすめです。

中国医学と咳

中国医学では咳の初期症状の原因には”冷え”と”熱”があります。

冷え性や、気候・冷房の”寒さから起こる咳”は薄い鼻水や痰、悪寒等を伴います。

”熱による咳”は熱がこもりやすい体質の他、風邪・ウイルスの影響による発熱や発汗、口の乾き、濃い痰等が特徴です。
他にも過度なストレスは症状を悪化させてしまうことがあります。

咳止めを選ぶ際には、咳等の症状の他にも体質も総合的に判断して漢方を利用します。

咳のタイプ

●熱タイプ

発熱・発汗・濃い鼻水・痰、発熱、口の渇き・肺の炎症等の症状を伴う
熱がこもりやすい体質の人も注意が必要。

他の症状:呼吸が速くて荒い、胸痛、顔色が紅い、尿の色が濃い、便秘気味、舌が紅い、舌の苔が黄色い等

●ストレスタイプ

過度なストレスが精神を乱れさせて体のを巡る”気”の流れも悪くなることで発症する。
ストレスを溜めやすい人やイライラしやがちになっている人は、気分をリラックスさせることが大切です。

咳以外の症状:胸苦しい、発作等

●痰湿タイプ

痰湿とは体内の余分な水分や汚れのことです。
食事の不摂生は脾胃(ひい)の機能を低下させて痰湿を溜めやすくします。

※脾胃(ひい)は胃腸のこと。

そのため脾胃(ひい)を機能を整えて、汚れの溜まらない身体にすることが大切です。

太り気味の人や暴飲暴食をしがちな人は、特に身体に溜まった痰湿を取り除きいて脾胃の機能を高める必要があります。

咳以外の症状:胸苦しい、吐き気、食欲不振、舌の苔が厚い、のどがゼーゼー・ヒューヒューと音がする等

余分な水分や汚れを取り除き、気の流れもスムーズにして肺のトラブルも治しましょう。

●虚弱タイプ

生命エネルギーと関係がある”腎”や、食べ物を消化吸収する”脾胃”の機能も弱くなっています。

その結果、さらに体力を消耗させて”肺”の栄養や潤いも不足し、症状もなかなか治りません。

体力不足や虚弱体質、高齢者等の体力が衰えてきている人も、普段から腎・脾胃の機能を高めることが大切です。
栄養のある食事で肺の栄養と潤いも整えて健康な状態に戻しましょう。

咳以外の症状:息切れ、疲労感、汗が出る、かぜを引きやすい、食欲不振、舌の色が淡い等

さいごに

咳の症状には普段の生活を見直すことも大切です。

漢方はタイプ・症状・体質に合わせて選びしっかりと治しましょう。

漢方で喉のイガイガを和らげるなら麦門冬湯

麦門冬湯(バクモントウトウ)は、喉に色々と作用してくれる漢方です。例えば、咳が止まらないときや、喉のイガイガが収まらないときなどにも使用できます。
痰にも働きかけてくれるので、喉で悩んでいる時にはおすすめです。
麦門冬湯には、麦門冬(バクモンドウ)、半夏(ハンゲ)、人参(ニンジン)、粳米(コウベイ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)がブレンドされています。

麦門冬湯の漢方について

・麦門冬(バクモンドウ)…ユリ科ジャノヒゲもしくはそれに近い植物の塊根から出来てきます。鎮咳去痰として喉の痛みや炎症を和らげてくれます。他にも、体を温めて弱った体を元気にしてくれる作用も期待出来ます。
・半夏(ハンゲ)…サトイモ科カラスビシャクの根茎から出来ています。鎮吐作用や去痰作用があり、吐き気などを静めてくれる漢方です。
・人参(ニンジン)…ウコギ科のオタネニンジンの根で、朝鮮人参、高麗人参というと日本人に馴染みのある名前でしょう。強壮作用があり、元気を取り戻してくれる漢方です。
・粳米(コウベイ)…イネ科イネの果実もしくは種子から出来るものです。これは、玄米を指しています。
体を元気にしてくれる作用や、気持ちを落ち着けてくれる作用があります。
・大棗(タイソウ)…クロウメモドキ科ナツメの果実で、漢方薬では様々な成分同士衝突を防ぐために使用されています。そのため、様々な漢方薬に入っている漢方です。
・甘草(カンゾウ)…マメ科ウラルカンゾウもしくはそれに近い植物の根から出来ます。甘みのある漢方なので、甘み付けとしても良く様々な漢方薬に使用されています。

麦門冬湯の主な効能

咳が止まらないときや、喉の痛みに良いとされています。他にも、喘息や気管支炎などでも有効です。
粘り気があって咳につながってしまうような痰などにもおすすめで、ガラガラとした声になってしまった場合にも使用できます。麦門冬湯とは、喉に関係する悩みには使いやすい漢方薬です。

麦門冬湯を飲む際の注意点

まず、漢方は何を飲むにしても、持病のある人、薬を飲んでいる人は医師や専門医に確認しておいてください。これは、市販薬の場合も含みます。
また、甘草を含む他の漢方薬と併用して飲むと、甘草の摂取しすぎによって偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。もしも併用する場合は、医師や専門医へ相談の上、服用するようにしましょう。

麦門冬湯の飲み方

漢方薬の場合は、基本的に食前か空腹を感じた時の食間に飲みます。
顆粒の場合は、お湯で溶かしてから飲みます。これは、水でも構いませんが、常温の水をおすすめしてます。
食欲がない場合や、吐き気がある場合は、胃の負担も考えて食後にしても大丈夫です。

麦門冬湯で考えられる副作用

麦門冬湯を服用したときに考えられる副作用は、胃がムカムカしてしまったり、食欲がなくなることです。これ自体あまり起こることは無く、起こったとしても次第に慣れていきます。
甘草を大量に取ると、むくみや血圧の上昇のある偽アルドステロン症が出ることがあるので、飲みすぎには注意してください。
他にも、重く副作用が出ると、吐き気やしびれの症状が出てくるため、すぐに医者へ連絡をしてください。

身体が熱い風邪症状に「小青竜湯加石膏」

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)という水っぽい鼻水や粘り気のある咳といった症状に対して有効な漢方薬があります。漢方薬の中でもかなり知名度の高いものですのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
この小青竜湯加杏仁石膏(しょうせいりゅうとうかせっこう)は「身体を温め、肺を乾かす」という性質を持つ小青竜湯の生薬に、炎症を鎮める作用のある石膏(せっこう)を加えた配合となっています。鼻炎症状への高い効果を有する小青竜湯に、抗炎症・解熱作用に優れた石膏を加えた小青竜湯加石膏は胸苦しさやほてり、のどの渇きといった症状が特に強い場合に効果的です。

配合されている生薬は以下の通りです。

麻黄(まおう)……発汗作用、鎮咳作用、利水(※体内の水の流れを正す)作用などがある。
半夏(はんげ)……止嘔作用、去痰作用、鎮静作用などがある。
桂皮(けいひ)……発汗作用、止痛作用、解肌(※発汗)作用などがある。
芍薬(しゃくやく)……補血作用、鎮痛作用、鎮痙作用、収斂(※体液を漏らさず集める)作用などがある。
五味子(ごみし)……止咳作用、止渇作用、滋養作用、固精(※精力を留める)作用、止瀉(※下痢止め)作用などがある。
細辛(さいしん)……止咳作用、止痛作用、解表(※発汗)作用、温裏(※寒さを散らす)作用などがある。
乾姜(かんきょう)……健胃(※胃の機能を正常にする)作用、温裏作用、鎮痛作用、鎮痙作用、化痰(※痰を除く)作用などがある。
甘草(かんぞう)……健胃作用、鎮痛作用、鎮痙作用、去痰作用などがある。
石膏(せっこう)……清熱作用、止渇作用、沈静作用などがある。

抗アレルギー作用、抗炎症作用、解熱作用、気管支拡張作用などの効果を有する生薬が配合されており、アレルギー症状や炎症を誘発する様々な病気に対して効果が期待できます。

小青竜湯加石膏とは何の症状に効く漢方薬なのか

小青竜湯加石膏の効能は主に鼻炎や風邪による水っぽい鼻水やうすい痰などの症状に加え、身体のほてり、熱感、のどの渇きといった症状が強く表れている方に対して適した漢方薬です。
通常の小青竜湯と比べ、抗炎症・解熱作用に優れているため、気管支炎などの炎症症状により湿っぽい咳が出るといった方に対しても効果的でしょう。

※小青竜湯加石膏は「身体を温め、肺を乾かす」という性質をもった漢方薬であるため、「乾いた咳」「粘り気のある痰」といった症状に対して使用すると症状が悪化する恐れがあるといわれています。このような症状に対しては麦門冬湯などの漢方薬が適しています。

小青竜湯加石膏とはどのように使うものか

小青竜湯加石膏を煎じたものを食間もしくは食前に服用します。
しかし体力低下が著しい人や多汗、吐き気、嘔吐、乾いた咳といった症状のある方は症状の悪化の恐れがあるため使用には細心の注意が必要です。服用する際は安易に自己判断せず医師の診断を仰ぎ、用法用量を守って正しく使うようにしてください。

副作用はあるのか

配合されている生薬・麻黄(まおう)には血圧を上昇する作用があるため、高血圧の方や不整脈・狭心症といった心臓疾患のある方は注意が必要です。
また、他の内服薬との併用による配合成分の大量摂取によって副作用が生じることがあります。
加えて、個人によって体質に合わなかったり、アレルギー反応などが出ることもあるかと思います。実際に使用してみて何か異常を感じた場合にはすぐに使用を止め、処方した医師や薬剤師に相談するようにしてください。

水っぽいダラダラ鼻水に「小青竜湯」

風邪や花粉症、アレルギーで鼻水が止まらない……。そんな方にオススメなのがこの小青竜湯(しょうせいりゅうとう)です。
中国の伝説上の神獣・青竜の名前を持つ漢方薬で、その由来は配合されている生薬・麻黄(まおう)の色が青いことと、竜が「水」を司ることからきているといわれています。
身体を温め発汗を促す作用や全身の水分量を調節してくれる作用などを持つこの漢方薬は厄介な鼻水や鼻づまりに悩んでいる方の手助けをしてくれることでしょう。

配合されている生薬は以下の通りです。

麻黄(まおう)……発汗作用、鎮咳作用、利水(※体内の水の流れを正す)作用などがある。
半夏(はんげ)……止嘔作用、去痰作用、鎮静作用などがある。
桂皮(けいひ)……発汗作用、止痛作用、解肌(※発汗)作用などがある。
芍薬(しゃくやく)……補血作用、鎮痛作用、鎮痙作用、収斂(※体液を漏らさず集める)作用などがある。
五味子(ごみし)……止咳作用、止渇作用、滋養作用、固精(※精力を留める)作用、止瀉(※下痢止め)作用などがある。
細辛(さいしん)……止咳作用、止痛作用、解表(※発汗)作用、温裏(※寒さを散らす)作用などがある。
乾姜(かんきょう)……健胃(※胃の機能を正常にする)作用、温裏作用、鎮痛作用、鎮痙作用、化痰(※痰を除く)作用などがある。
甘草(かんぞう)……健胃作用、鎮痛作用、鎮痙作用、去痰作用などがある。

抗アレルギー作用、抗炎症作用、気管支拡張作用などの効果を有する生薬が配合されており、くしゃみや鼻水を誘発するさまざまな病気に対して効果が期待できるものとなっています。

小青竜湯とは何の症状に効く漢方薬なのか

小青竜湯の効能は主に鼻風邪、アレルギー性鼻炎、花粉症などに対して用いられます。しかし、身体に熱がこもり汗を多くかいている人にはあまり適さないといわれています。
なお、小青竜湯が適する風邪症状は水っぽい鼻水やうすい痰、くしゃみ、湿っぽさのある咳、悪寒などを生じるものになります。

漢方薬の風邪薬というと葛根湯(かっこんとう)や麦門冬湯(ばくもんどうとう)も有名ですが、葛根湯は熱や腫れといった初期症状に対して有効で、麦門冬湯はカラ咳といった乾いた咳の出る症状に対して有効なものです。
これらのものと比較すると、小青竜湯は特に水分の異常が著しい風邪症状に対して特に有効なものだと考えられるでしょう。

※小青竜湯は「身体を温め、肺を乾かす」という性質をもった漢方薬であるため、麦門冬湯の適応であるような「乾いた咳」「粘り気のある痰」といった症状に対して使用すると症状が悪化する恐れがあるといわれています。ご注意ください。

小青竜湯とはどのように使うものか

小青竜湯を煎じたものを食間もしくは食前に服用します。
しかし体力低下が著しい人や多汗、吐き気、嘔吐、乾いた咳といった症状のある方は症状の悪化の恐れがあるため使用には細心の注意が必要です。服用する際は安易に自己判断せず医師の診断を仰ぎ、用法用量を守って正しく使うようにしてください。

副作用はあるのか

配合されている生薬・麻黄(まおう)には血圧を上昇する作用があるため、高血圧の方や不整脈・狭心症といった心臓疾患のある方は注意が必要です。
また、発現頻度は不明なものの、間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパシー、肝機能障害、黄疸といった副作用が生じる可能性があるとされています。

また、他の内服薬との併用による配合成分の大量摂取によって副作用が生じることがあります。
加えて、個人によって体質に合わなかったり、アレルギー反応などが出ることもあるかと思います。実際に使用してみて何か異常を感じた場合にはすぐに使用を止め、処方した医師や薬剤師に相談するようにしてください。