梔子柏皮湯とは

梔子柏皮湯は、湿疹・皮膚炎、かゆみ、目の充血などに用いる漢方薬です。清熱解毒(熱を冷まし、熱による毒を取る)の源流ともいうべき処方であり、三黄瀉心湯や黄連解毒湯に通じる方意を持っています。すなわち、身体にこもった余計な熱がもたらす炎症や痛みを、冷やすことで和らげようとする漢方薬です。湿っていて炎症性の強い、赤みを持った皮膚炎に効果があります。

「アトピーに効く」としてテレビで紹介され、認知度があがった漢方薬でもあります。

添付文書によると、対象証が「肝臓部に圧迫感のあるもの」と少々曖昧に感じますが、これはこの方剤が「肝(主に肝臓にあたる)」に働き熱を引かせる作用があるためです。そのために黄疸や二日酔にも効果があるとされています。口が乾き、熱感がある、炎症部に湿り気がある、便秘はない、体力はそこそこある、といった状態が梔子柏皮湯の適応証となります。

漢方薬は患者さんの「証」が合っていることが重要です。アトピー治療目的で安易に服用をせず、医師・薬剤師にきちんと見立ててもらうことが大切です。

梔子柏皮湯の生薬について

・山梔子(サンシシ)…クチナシの成熟果実を乾燥したものです。有効成分は苦味のもとでもあるイリドイドで、消炎、止血、解熱、鎮静作用があります。冷やす性質を持つため熱性の炎症性疾患に有効です。

・甘草(カンゾウ)…マメ科カンゾウの根を乾燥させたものです。ありとあらゆる漢方処方に配合されている重要な生薬で、主な薬効は鎮痛、鎮咳、去痰、解熱、消炎、鎮静、健胃、強壮となり、痛みを鎮めつつ気力体力をつけてくれることから病中病後の弱った身体への処方には欠かせません。補虚・補気(滋養強壮)の代表的な生薬です。有効成分はグリチルリチンといい、西洋医療で抗炎症薬、抗アレルギー薬として応用されています。

・黄柏(オウバク)…シナキハダという樹木の周皮を除いた樹皮を用います。名前の通り、皮を剥ぐと黄色い肌が露出します。寒性の生薬で解熱、消炎作用があり、炎症性の下痢などに効果を表します。また腎(腎臓を始め水分の代謝を司る器官)に働き利尿作用をもたらします。

梔子柏皮湯の効能

梔子柏皮湯は、主に身体にこもった過剰な「湿」と「熱」を除くことでかゆみや炎症を鎮めます。

アトピーやじんましんの体質の方で気候が蒸し暑くなると同時に症状が悪化するのは、外気から湿熱の邪を取り込んでしまいその発散がうまくいっていないためです。体外に出ようとしている熱は皮膚にかゆみを生じ、湿は体の水分バランスを狂わせてしまいます。そして水分バランスの乱れは肝に影響を及ぼし、黄疸や二日酔いを引き起こします。目が充血するのも、目に養分を送っている肝が過剰な熱を持っているからと言われます。

山梔子や黄柏は身体を冷やす生薬で、熱が強すぎる身体を冷まし、炎症を取り去ります。とくに黄柏は肝に働くため、肝臓部に圧迫感があるほど熱がこもってしまった場合には効果的です。甘草は二つの生薬が消化器を冷やしすぎないよう制御し、調和させます。

3つの生薬が互いにバランスをとって働くことで、熱や水分の調和を取り戻し、不快な症状を去ってくれる仕組みです。

梔子柏皮湯の使用法

「湯」は煎じ薬の意味であり、もともとは生薬を煎じて煮出したものを服用していましたが、現在ではそれを濃縮乾燥させた「エキス剤」が主流です。小太郎漢方製薬から出ているエキス剤の場合は1日6gで、これを2、3回に分割し食前または食間に服用します。

副作用などはあるか

医師の指示にしたがって服用する限り、重篤な副作用の心配はほぼないと言えるでしょう。ただし甘草を含む処方なので、生薬特有の副作用であるの「偽アルドステロン症」に注意します。むくみや高血圧などがおこる場合があります。その他、服用して発疹や胃の不快感、下痢などが現れた場合は早めに医師に相談してください。