桂枝加朮附湯とはどんな漢方薬なのか

熱や痛みを発散する風邪薬「桂枝湯」に蒼朮と附子を加え、関節の痛みと腫れに効果を発揮するよう処方された漢方薬です。

配合されている生薬は以下の通り。

・桂皮(ケイヒ)…健胃、発汗、鎮痛、整腸作用があり、身体を温め血行を改善し、冷えからくる痛みを和らげます。

・芍薬(シャクヤク)…鎮痛、鎮痙作用があり、筋肉の緊張を和らげます。内臓の痙攣や収縮をおだやかにすることで痛みを和らげる作用があります。

・蒼朮(ソウジュツ)…健胃、利尿、発汗作用があり、水分代謝を活発にします。

・附子(ブシ)…利尿、鎮痛、鎮静作用があり、身体を温め、新陳代謝を活発にします。

・生姜(ショウキョウ)…健胃、発汗、食欲増進作用があり、身体を温めます。

・大棗(タイソウ)…鎮静作用があり、身体を温め、心を落ち着かせます。他の生薬の作用を穏やかにします。

・甘草(カンゾウ)…鎮痛、鎮痙作用があり、炎症を和らげたり、緊張を緩和させたりします。

もともと温熱作用に優れる「桂枝湯」の構成に加え、蒼朮、附子ともに身体を温める性質の生薬が配合され、冷え症の傾向がある人に用いられます。

またこの二つの生薬にはどちらにも「代謝を促す」という性質があり、血の流れや水分の滞りによって起こる不調にアプローチする、というところが大きなポイントです。「足りないものを補う」ばかりでなく、流れが滞り余分なモノがたまっている場合にそれを取り去る方向に働きます。

桂枝加朮附湯はどんな症状に効く漢方薬なのか

桂枝加朮附湯は冷えると重くなるタイプの関節炎や肩こり、神経痛に効果があります。また、慢性関節リウマチなどに対する代表的処方薬です。

リウマチは身体のいたるところの関節に痛みを生じる疾患で、はじめは朝方にこわばりを感じるという程度なのが、次第に炎症を起こして我慢できない痛みになり、やがて関節が変形したり歩行が不可能になったりするという進行性の病気です。

症状の出方だけ見ると骨や筋肉の病気であるように感じますが、実は免疫機能の異常によるもの。外部の病原体などを取り除く免疫システムが過敏になり、自分自身の細胞やたんぱく質まで攻撃してしまう、という状態がリウマチであり、関節の痛みの正体なのです。

自己免疫システムの異常というのは、漢方の考え方で言うと「気・血・水」の乱れた状態です。そして神経や関節に痛みが起こる場合、原因は冷えや湿気とされています。冷えるのは「気」が足りていないからで、身体に湿気があるというのは体内の「水」が滞って代謝が上手くいっていない、ということです。

桂枝加朮附湯はまさに、気(エネルギー)を補って溜まった水毒を抜くという、原因を根から取り除く働きをしてくれます。

桂枝加朮附湯とはどのように使うものか

名前に「湯」が付くのを見て分かる通り、桂枝加朮附湯も元は煎じ薬です。しかし、現在ではそれを濃縮乾燥させた「エキス剤」が主流となっています。

煎じる手間がなく、手軽に服用を続けられます。医師に処方された1日量(ツムラのもので成人7.5g)を2~3回に分けて食前または食後に服用します。

副作用などはあるか

基本的には、医師の指示に従って服用する限りは重篤な副作用の心配はありません。

ただし、配合中の「附子」はトリカブトのことであり、有効成分である「アコニチン」は摂取しすぎると動機やのぼせ、舌のしびれや不整脈を起こす恐れがあるので、用法・用量を無視した服用は避けましょう。

また「甘草」の成分「グリチルリチン酸」も過剰摂取により「偽アルドステロン症」が起こすと言われています。他に服用している薬がある時は重複がないか成分をチェックし、医師に相談してください。