ほてりが気になる人は漢方を

漢方は薬と違い、強く効くというよりは、自然のもので力を高めてくれるものが多くなります。そのため、ほてりが気になる人も、すぐに薬に頼らず、一度漢方によって体の自然治癒力を高める方法を取ってみましょう。
漢方は難しいと思われがちですが、漢方を取り扱っている病院なども多くあるので、そこで相談をしてみてください。自分に合った漢方が見つけられるはずです。
ほてりに関しても、原因は様々です。今回は、原因別におすすめの漢方を紹介します。これを元に、医師や専門医に相談してみると良いでしょう。また、すでに他の薬や漢方を処方されている人や、妊娠中の方などは、必ず相談してから服用してください。

ほてりでお悩みの方におすすめの漢方

・冷えのぼせの場合
冷えのぼせとは、上半身はほてりを感じているのに、下半身は冷えている状態を指します。この部分的に冷え、部分的にほてりを感じる状態は、体の歪みやストレスなど様々な原因が考えられます。
この悩みにおすすめな漢方薬は、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)です。これは、血流を良くすることで、体の上下のバランスを整えてくれる作用があります。
【ブレンドされている生薬】
桂皮(ケイヒ)
芍薬(シャクヤク)
茯苓(ブクリョウ)
桃仁(トウニン)
牡丹皮(ボタンピ)

・手足がほてる場合
冷えのぼせのように部分的なのぼせですが、手足や顔などがほてる場合は、手足などに水分を補給するパワーが体にあまり残っていないことが考えられます。その場合には、知柏壮健丸(チバクソウケンガン)がおすすめです。これは、瀉火補腎丸(シャカホジンガン)とも呼ばれています。
この漢方薬は、むくみや頻尿など、体内の水分を正常にする助けをしてくれるものです。
【ブレンドされている生薬】
知母(チモ)
黄柏(オウバク)
地黄(ジオウ)
山茱萸(サンシュユ)
山薬(サンヤク)
牡丹皮(ボタンピ)
茯苓(ブクリョウ)
沢瀉(タクシャ)

・ホルモンバランスの乱れによるほてりの場合
ホルモンバランスの乱れによって、更年期には特にほてりを感じる場合があります。その時におすすめな漢方は、加味逍遙散(カミショウヨウサン)です。更年期障害だけでなく、生理不順や生理痛、子宮内膜症などの悩みにも良いとされています。
だるさにも効くとされているので、更年期障害でほてり以外にも、なんだかやる気が出ない、疲れが抜けないという場合にも効果的です。
【ブレンドされている生薬】
柴胡(サイコ)
芍薬(シャクヤク)
蒼朮(ソウジュツ)
当帰(トウキ)
茯苓(ブクリョウ)
山梔子(サンシシ)
牡丹皮(ボタンピ)
甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ)
薄荷(ハッカ)

・自律神経の乱れによるほてりの場合
急な緊張やストレスによったのぼせも考えられます。この場合は、柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)という、心にも体にも働きかけてくれる漢方薬がおすすめです。体の熱を取り、苛立つ心を静めてくれます。そのため、不眠症や神経衰弱、だるさなどで悩んでいる方には効果的です。
こちらの漢方も、更年期障害に使用できるものになります。
【ブレンドされている生薬】
柴胡(サイコ)
桂皮(ケイヒ)
乾姜(カンキョウ)
黄ごん(オウゴン)
牡蛎(ボレイ)
瓜呂根(カロコン)
甘草(カンゾウ)

ほてりやのぼせ、高血圧に即効の漢方薬「三黄瀉心湯」

三黄瀉心湯とは

三黄瀉心湯は、ほてりやのぼせ、高血圧、それに伴う種々の症状の改善に用いる漢方薬です。鼻血や吐血などの出血症状、イライラなどの精神症状にも効果があります。黄蓮、黄芩、大黄、3つの「黄」を配合した処方ということで「三黄」の名があり、また「瀉心」は「心下部の膨満を瀉(排出)する」の意、つまり胃のあたりがつかえる感じを改善する、という意味を持ちます。

具体的には血液の循環や、精神状態を司る「心」の異常な亢進を抑え、ドキドキする感じを落ち着かせる漢方薬です。熱を取る作用が強く、熱のために乾燥した腸の状態を改善するためしばしば便秘にも効果があります。漢方薬の中では即効性があるほうで、症状が辛い時に頓服で使用します。

冷やす作用が強いため、手足の冷えを訴える人には使用しません。また生薬の作用も強めで、早急に症状を去ることに重点を置いた処方なので、比較的体力のある人にのみ処方されます。

三黄瀉心湯の生薬について

・黄蓮(オウレン)…キンポウゲ科オウレンの根茎を乾燥したものです。苦・寒性を持ち、清熱薬として働く生薬です。特に胃腸のの熱を取る働きに優れ、充血や炎症を落ち着かせて痛み、出血などに効果があります。また湿を乾かすため、胃の不快感や嘔吐を鎮めます。

・黄芩(オウゴン)…コガネバナの、周皮を除いた根を乾燥したものです。同じく胃腸に働く消炎・解熱の作用があり、心下部のつかえや膨満を解消したり、腸粘膜の炎症を改善したりします。腸の熱を取るため穏やかな通じ薬としての作用も持ちます。

・大黄(ダイオウ)…タデ科の植物の根茎で、寒性を持ち、大腸の熱を取り去り炎症を鎮めます。比較的強い瀉下作用を持つとして有名な生薬で、便通をつけることを目的にした処方には広く配合されていますが、その作用は腸内細菌によって「レインアントロン」に代謝されることによります。

三黄瀉心湯の効能

「『心』の熱を取る」ことに重点を置いた処方です。

「心」とは主には心臓にあたりますが、この器官は血液を体にめぐらせる役割を持つほか、精神状態にも深く関連しており、ストレスなどを受けるとすぐに熱を持つ性質があります。熱は心の活動を亢進させ、脈が強くなって神経が高ぶるために不眠や不安、イライラなどを引き起こす上、血圧が高まり出血を起こしたりします。ほてりやのぼせを引き起こすのも「心の過熱」によるものだというのが漢方における解釈です。

配合生薬である3つの「黄」は、いずれも身体を冷やす性質があり、とくに心に作用するという特性があります。そのため漢方としては珍しく、ダイレクトに症状へ作用する力を持ち、短時間で心と血液の熱を去ってくれます。心の興奮が治まることで熱を持った血液の充血が引き、のぼせやイライラが解消します。また、高血圧やそれに伴う頭痛なども改善します。

三黄瀉心湯の使用法

生薬に熱湯を注ぎ、お茶のように振り出したものを服用します。急性症状への頓服として用い、長期にわたって服用を続けることはありません。熱を取る作用を効率的に活かすため、冷服といって煎剤を冷やしてから服用します。

副作用などはあるか

体力のある方に向いた処方であるため、虚弱な人や胃腸の弱い人は服用できません。服用して体調が悪くなったなど気になることがあれば、医師・薬剤師に相談しましょう。実証(体力がある)の方が用いるぶんには大黄の下剤作用が下痢を引き起こすことはあまりないとされていますが、個人差もあるため経過には注意します。

また、大黄には子宮収縮作用があるため、妊婦の方は服用できません。