ホルモンバランスが崩れたときには漢方を

ホルモンバランスが崩れると、女性は生理痛や生理不順、おりものの変化や更年期障害など様々な問題や不調を感じます。その原因は様々ですが、改善を考えていかないと体への負担も多くなります。
そのため、漢方によって内から改善をし、体のバランス、ホルモンバランスを整えていく必要があります。自分の体質によって合う漢方合わない漢方があるので、まずは専門医に相談してみると良いでしょう。

ホルモンバランスを整えるのにおすすめの漢方

・当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
弱々しく、声も小さい人におすすめ出来る漢方薬です。冷え性で、血の巡りが悪く、貧血になりやすい人には効果的でしょう。疲れやすく、ホルモンバランスの乱れによって更年期障害が起きたり、生理不順になったりということが考えられます。
不妊症や流産の可能性も高まるので、気になる人は早めに確認、処方してもらうべきです。
【ブレンドされている生薬】
当帰(トウキ)
川芎(センキュウ)
芍薬(シャクヤク)
蒼朮(ソウジュツ)か白朮(ビャクジュツ)
沢瀉(タクシャ)
茯苓(ブクリョウ)

・加味逍遙散(カミショウヨウサン)
ホルモンバランスの乱れによってイライラしてしまうからにおすすめ出来る漢方薬です。イライラが続くと、不眠症の原因や、生理に異常が現れる場合も考えられます。
ストレスによって、体も弱っている場合には特に効果的です。気持ちが高まりすぎてる場合も、冷静にしてくれる作用が期待できます。
また、メンタルが弱っているときの物忘れにも働きかけてくれるので、予防するのにおすすめできます。
【ブレンドされている生薬】
柴胡(サイコ)
芍薬(シャクヤク)
蒼朮(ソウジュツ)
当帰(トウキ)
茯苓(ブクリョウ)
山梔子(サンシシ)
牡丹皮(ボタンピ)
甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ)
薄荷(ハッカ)

・温経湯(ウンケイトウ)
冷えや乾燥で悩んでいる方におすすめ出来る漢方薬です。下半身の冷えによってお腹を壊しやすかったり、部分的に熱を持ってしまうことで起こる乾燥や発疹などにも効果的です。
おりものの量の異常や、冷えによる生理痛にも使用できます。
【ブレンドされている生薬】
麦門冬(バクモンドウ)
半夏(ハンゲ)
当帰( トウキ)
甘草(カンゾウ)
桂皮(ケイヒ)
芍薬(シャクヤク)
川芎(センキュウ)
人参(ニンジン)
牡丹皮(ボタンピ)
呉茱萸(ゴシュユ)
生姜(ショウキョウ)
阿膠(アキョウ)

・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
長期的に使用できる、ホルモンバランスを整える漢方薬です。
血の巡りを良くするため、シミやクマなどの色素沈着を防ぎ、生理不順やホットフラッシュなどにも効果的です。他にも、頭痛や腰痛、生理痛などの鎮痛作用も期待できます。
便秘の人にはおすすめできないので注意しましょう。
【ブレンドされている生薬】
桂皮(ケイヒ)
芍薬(シャクヤク)
茯苓(ブクリョウ)
桃仁(トウニン)
牡丹皮(ボタンピ)

・桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
生理中や妊娠中のイライラや精神的に不安定な時におすすめ出来る漢方薬です。女性特有の便秘などによる憂鬱さを解消するにもぴったりになります。腰痛や肩こりなどにも有効で、なんとなく毎日だるさを感じる、疲れが取れないというときに用いてみましょう。
ただし、比較的体力の残っている人におすすめ出来る漢方薬なので、体調が悪すぎる場合などは避けてください。
【ブレンドされている生薬】
大黄(ダイオウ)
芒硝(ボウショウ)
桃仁(トウニン)
桂皮(ケイヒ)
甘草(カンゾウ)

婦人科でも認められる漢方の効果とは

自然の生薬(しょうやく)を組み合わせた漢方薬は、婦人科でも多くの処置に使用されています。

近年は漢方薬を用いた治療を希望する”漢方外来”の他に”女性の漢方外来”も増えています。

漢方治療が有効な疾患・病態

漢方治療の有効性は、加齢に伴う様々な症候・障害から、小児の発育不良、悪性腫瘍の補助的治療、術後後遺症の軽減、神経難病、心身症、アレルギー素因に基づく病態、自己免疫性疾患の補助治療に虚弱体質まで幅広く認められています。

その中でも女性特有の様々な病態には、体への薬の負担も少なく、組み合わせの応用の効く漢方薬が副作用も比較的緩やかにできる点で好まれています。

女性特有の病態例:冷え性、更年期障害、月経困難症、不妊症等

女性の問題と漢方

女性の体は、女性ホルモンが月経・妊娠・閉経と体に影響を与えて、それに合わせた様々な症状も出現します。

特に、ストレス過多による更年期障害や月経前緊張症等は、西洋医学だけでは対処しきれないところがあります。

心身一如(しんしんいちにょ)

漢方では、心身一如の考えで”心と体とを1つに捉えて治療”します。

つまり心の作用は体への作用という相互関係で成り立ち、西洋薬の病気の症状にピンポイントに治療するものとは対処が異なるのです。

西洋薬とは副作用対策として「ピルと漢方薬」「抗不安薬と漢方薬」といった組み合わせで”早急性のある薬(西洋薬)で症状の回復”と”体質改善”で病気・症状にアプローチできます。

心と体を調和させる

女性の生理周期は、ホルモンバランスの乱れが心への作用も大きくします。

漢方では、全ての事象に「陰(いん)と陽(よう)のバランス」が重視されます。

これは人の体も同様で「陰と陽」の存在が調和のとれているときに”健康”と診断されるのです。

漢方での考え方は、足りないものは補って余分なものは排除する・冷えていれば温めて・緩んでいれば緊張、と全て調和させていきます。

特に月経異常や排卵障害は、ストレスや心身症の要素も併せ持つことから漢方治療が大いに役に立ちます。

診断方法

漢方薬は以下のような診断を統合して、その人に合ったものを選ぶことが大切です。

●四診(ししん)とは

望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん) の五感で捉える情報を基に診断されるものです。

●証とは

漢方薬の使用基準のことです。
患者さんと病気の関係を表す”ものさし”になります。

●虚・実とは

「証」の分け方のひとつです。
体力の質的な充実度を測ります。

虚:虚証(きょしょう)は「体力がなく、弱々しい感じの人」
実:実証(じっしょう)は「体力や抵抗力が充実している人」

●気・血・水とは

不調の原因を測る”ものさし”です。
あくまでも治療のための概念で、古人が想定した「体の働きを保つための三要素」をいいます。

漢方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素が、体内をうまく巡ることによって健康が維持されています。

・気とは
生命を維持しようとする基本的活力

・血とは
血液・ホルモン成分などを含めた体液の総称

・水とは
体内の水液の総称

うつに効く漢方とおすすめ薬膳本4選

性格的なものや遺伝・環境の変化から長期的なストレスを感じると「気」のバランスが崩れて「うつ病」等の症状を発症することがあります。

このとき漢方薬はその人の体質とうつ病の進行度合い、証(体質等)に応じて選びます。

うつ病とは

落ち込んだ気分、興味・喜びの喪失、意欲の低下、倦怠感、睡眠障害、食欲の低下、集中力の低下などが1日のほとんどの状態です。

その状態がほぼ毎日、2~3週間以上持続し生活に支障をきたすことで「うつ病」と診断されます。

気虚型(ききょ)のうつ病には

気虚型:食欲不振、やる気低下、うつ症状などの症状を伴う

●補中益気湯(ほちゅえきとう)

胃腸虚弱な体質の人で、体の疲れ、無気力、食欲不振、こじれて長びく風邪、痔、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っているときに用います。

胃腸の働きを良くして体力を回復をさせ、元気を取戻すことを助けます。

●桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

「柴胡加竜骨牡蠣湯」の「柴胡」の代わりに「桂枝」を配合した漢方薬です。

胃腸虚弱体質で、ストレスなどの精神不安や神経症、不眠症などに使用します。

また柴胡加竜骨牡蠣湯を使う場合と同様の症状があり、汗かき(虚証)の人に効果があります。

●加味帰脾湯(かみきひとう)

貧血気味で、且つ過度の精神疲労によるイライラと不安感、うつ症状、動悸、体の疲れがある場合に適用します。

比較的精神症状の強い人に用いて、体力をつけながら精神を安定させる効果もあります。

●柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

胃腸虚弱体質で神経質な人に使用されます。

頭汗や口の渇き、のどの渇き、動悸、不眠などがあり、疲労感を訴える場合に使います。

気滞型(きたい)のうつ病には

気滞型:不安感、気うつ、不眠などの症状を伴う

●半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

神経質で生真面目な人でうつや神経症、ヒステリーなどの精神症状を伴う人に用いられます。

不安感、不眠症、のどの異物感や胸の圧迫感、動悸、吐き気、声が出にくいなどの身体症状の緩和にも効果を発揮します。

●香蘇散(こうそさん)

所期の軽いうつ病に効果を発揮します。

内気な性格の人で、ストレスが発散できずに憂鬱な気分を感じ、なんとなく不安で眠れない、意欲がわかない、耳がふさがったような症状、食も細い等の場合に使用します。

気剤(気の不足を補う薬)として用いて、普段から胃腸が弱い人や風邪の症状にもよく効きます。

●柴朴湯(さいぼくとう)

体力が普通程度で、喘息や気管支炎で痰を伴うとき、食欲不振、胸から脇にかけて張ったような感じの抑うつ感や不安神経症などにも適応します。

体の免疫反応を調整し、炎症を和らげる他、咳をしずめたり高ぶる神経を安定させて心と体の状態をよくします。

気上昇型のうつ病には

気上昇型のうつ病:のぼせ、イライラ、不眠、頭痛、めまいなどの症状を伴う

●加味逍遥散(かみしょうようさん)

せっかちで気分の変動が多い人で、便秘気味の方によく用いられます。
血液循環をよくして体をあたためる一方で、のぼせなど上半身の熱を冷まし、ホルモンのバランスを整える効果も期待できます。

具体的には不眠症、神経症、更年期障害、自律神経失調、月経前緊張症などの症状や、イライラや不安感、肩こり、手足の冷え、生理不順・生理痛、頭痛、けん怠感などにも適応します。

●抑肝散(よくかんさん)

赤ちゃん・子供向けの漢方薬ですが、病院では証(体質)にあまりこだわらず、さまざまな精神・神経疾患の補助薬として処方されています。

《精神・神経疾患の例》
神経症、不眠症、さらには認知症や統合失調症、躁うつ病、てんかん、パーキンソン病など

過敏体質で怒りっぽく、せっかちな人で、神経の高ぶりによる不眠症、イライラ、頭痛、被害妄想、更年期障害にも使用します。
そして腹直筋が緊張していることも使用目安にあります。

神経の高ぶりを抑え、また、筋肉のこわばりやつっぱりをゆるめて、手足のふるえ、けいれん、子供の夜なき、ひきつけなどにも適応します。

●抑肝散加陳皮半夏 (よくかんさんかちんぴはんげ)

抑肝散と同様の体質・症状で、胃もたれをしやすい胃腸が弱い方・虚弱な体質で、腹直筋が緊張していることも使用目安にあります。

これは神経の高ぶりをおさえ、筋肉のこわばりやつっぱりもゆるめて心と体の状態を良くします。

また、吐き気や食欲不振、イライラ感や不眠などの精神神経症状、手足の震え、けいれん、子供の夜なき、ひきつけなどにも適応します。

●釣藤散(ちょうとうさん)

神経症などがある中年以降で血圧が高めの方、慢性的な頭痛や頭重感がある方に適応します。体力が普通程度で、冷えのない人に向く処方です。

とくに、起床時から午前中にかけての症状に効果があります。

そのほか、高血圧や動脈硬化にともなう諸症状、たとえば、イライラや頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、のぼせ、抑うつ、不眠などにも用います。

●苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

体が丈夫ではない繊細な人向けの処方で、胃に水分が停滞しやすいことも使用目安にあります。

冷えのぼせがあり、立ちくらみ症状を中心に動悸や息切れ、頭痛、神経症、尿量減少、顔が赤く、めまいや身体動揺感がある場合にも使用します。

気上昇型:イライラ、不眠、頭痛、めまいなどの症状を伴う

●黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

比較的体力があり、イライラとのぼせ、、暑がりで顔は赤っぽく、胃や胸のあたりにモヤモヤとしたつかえがある人に使用します。
また、出血傾向のある場合にも用います。

頭重感や腹部膨満感などの体の症状を伴うことから、血流を改善して熱症状も鎮めて、興奮を伴った症状、胃炎、イライラ、不眠、不安焦燥感、高血圧などの改善に効果があります。

●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

どちらかというと女性向けで、体格がわりとしっかりした赤ら顔の人に向きます。
これは血のつまりをほぐす漢方薬で、血のつまりから来る諸症状に使用します。

具体的には、血行をよくして熱のバランスを整えることで、のぼせや冷え、肩こりを改善し、子宮などの炎症も鎮めます。

また、ホルモンのバランスを整える効果も期待できることから、生理不順や生理痛、頭痛、イライラ、更年期障害、生理痛などの症状にも使用できます。

ほかにも、ニキビやシミ、しもやけ、痔、打ち身、肝臓病などにも用いられます。

●桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

桂枝茯苓丸とは便秘があるという点で異なります。
体力のあるガッチリタイプもしくは肥満体質の人で、顔色がよくのぼせ気味、また下腹部が張り便秘がちの人に向く処方です。

これは血液循環をよくするほか、便通をつけたり、女性の生理不順、重い生理、生理にともなう不安やイライラ、腰痛、打ち身、あるいは高血圧にともなう頭重感や肩こり・めまいなどに適応します。

またホルモンのバランスを整えるほか、このような症状を伴う子宮の病気にも応用されます。

気過剰型:イライラ、みぞおちの張り、不眠などの症状を伴う

●柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

体格が良く体力のある人に用います。
みぞおちから肋骨の下にかけて、ものが詰まったような膨満感や、胸やわき腹が苦しい状態を伴う精神神経症状、精神不安、不眠、のぼせ、イライラ、動悸、便秘などに使用します。

竜骨と牡蠣等には精神を安定させる作用があります。他にも強壮・解熱の薬効も含まれています。

 

おすすめ薬膳本4選

これから薬膳を始めたい、そんな方におすすめしたい人気の薬膳本をご紹介します。

毎日役立つ からだにやさしい 薬膳・漢方の食材帳(薬日本堂監修)

スーパーなどで手に入る身近な食材197種類を体質のタイプや症状で変わる使い方をわかりやすく説明しています。日本最大の漢方相談薬局でもある薬日本堂が監修しています。

「この食材同士を組み合わせるとどんな効果があるか」を詳しく知ることができ、日常の料理の食材選びの参考になる情報が詰まっています。
おいしく食べて、体のバランスを整えることを目指した初心者でもよくわかる薬膳と漢方の基本講座付きで薬膳の入門書的に使えます。(税込1,620円)

からだに効く 和の薬膳便利帳(武鈴子監修)

気になる症状とそれを改善する食材・効能・食べ合わせがすぐわかる「からだに効く 和の薬膳便利帳」は食材の使い方から好ましい組み合わせ、レシピまで詳しく書かれた一家に一冊はほしい薬膳本です。

監修の武鈴子氏は「東京薬膳研究所」の代表を務める食養研究家で「食は薬である」ことを実感し、食養の研究を長年続けてきました。実際に中国四川省に渡り、薬膳師・孫蓉燦氏に師事し薬膳理論・料理技術を学び帰国後、東洋医学と日本の気候風土に合った薬膳理論を提唱し続けています。

おすすめのレシピが約300種類も掲載されたまさに「おうち薬膳」の決定版です。(税込1,728円)

春夏秋冬 ゆる薬膳。(池田陽子著)

薬膳を難しく考えず、方の力を抜いて生活に取り入れたい方におすすめなのが「春夏秋冬 ゆる薬膳。」です。春、梅雨、夏、秋、冬の健康と美容、アンチエイジングに役立つ薬膳アイデアが満載のこの本では季節に合わせたお手軽な薬膳アイデアを「見開き」ごとに紹介されています。マンガ、イラストを多用し、飽きの来ないわかりやすく楽しくい薬膳の説明は普段の生活にすぐに取り入れることができます。

『春は1年で最もダイエット成功の季節! 山菜や菜の花などの「デトックス食材」で一気にスリムに』『梅雨は水太り巨大化シーズン! 「むくみ」「カラダが重だるい」を「豆バラダイス」で解消!』『夏バテに効く「全身クーラー化食材」でクールビューティ』『秋はシワ増加シーズン! 潤い「白食材」で、秋の顔面砂漠を、うる、むち、プリ肌に』『冬は1年で最も老ける季節! おせちは「究極の若返り御膳」』など目をひく思わず読みたくなる身近なテーマが満載です。

カレーな薬膳 (渡辺玲著)

日本人の国民食でもあるカレーに薬膳を取りこんだ薬膳カレーがここ数年静かなブームになっています。カレー伝道師の渡辺玲氏が送る「カレーな薬膳」はカレーに特化した珍しい薬膳本です。「元気が足りない時は、南インドカレーを食すべし。」など薬膳効果を意識した独特のテーマでどんどんと読み進められる一冊です。

動脈硬化、高血圧、痛風の予防やアトピー対策、便秘解消、ストレス撃退からダイエットまで、医食同源の智恵とレシピを詰め込んだ「体のごちそう」百科である本書は身近な食材で美味しい薬膳カレーへの近道です。野菜豊富で油控えめでクセになる味わいが、体と心をじんわり幸せにしてくれる薬膳カレーがこの本を読めばあなたのおうちカレーに仲間入りするかもしれません。(税込 1,836円)