不眠障害とは継続的に決まった時間に眠れない、眠りが浅くすぐに起きてしまう、朝早く目覚めてしまうといった障害のことです。

不眠症は原因を取り除き、睡眠のリズムも取り戻して眠りに就きやすい環境を整えます。

睡眠時間の個人差

睡眠時間は平均的な指標はあるものの、それは全ての人に適用されるわけではありません。

某有名人が3時間眠ったら十分であったり、人によっては5時間・8時間と必要な睡眠時間にも個人差があります。

不眠症は睡眠時間に限らず「眠れない」状態をいいます。
睡眠時間はたっぷりとっても、睡眠の質が悪い場合は不眠症になることがあるのです。

不眠症とは

一般的には3週間以上、以下のような症状が継続するものです。

・床に入っても眠れない
・夜中に何度も目が覚める
・熟睡した気持ちがしない
・朝早く目が覚めて、そのまま眠れない
・眠りが浅い
・睡眠時間が短い

《睡眠障害の分類》

●入眠障害…なかなか寝付けない

●途中覚醒…途中で起きてしまう

●早朝覚醒…朝早く起きてしまう

不眠症の原因

不眠症の元の原因には以下のような要因があります。

・環境的な要因…騒音や振動、明るさ、気温、寝具の状態等

・精神的な要因…イライラ・緊張・不安等

・肉体的な要因…痛み等

他にも病気や食事・薬の成分(カフェイン・アルコール等)の影響、加齢が挙げられます。

不眠症の傾向

近年は、ストレスによる精神的な要因が多くなっているようです。

また、心の病気が原因で不眠症を併発する場合もあります。
不眠を伴う代表的な心の病気の例:うつ病(入眠障害・早朝覚醒)、神経症(入眠障害・中途覚醒)等

不眠と漢方薬

漢方薬の不眠への効果は、不眠が起こる原因を解消して自然なかたちで睡眠に導くものです。

つまり、西洋薬の睡眠薬(睡眠導入薬)とは直性的な働きではない点で異なります。

眠れないときには漢方を

現代社会では、ストレスやイライラで寝つきが悪かったり、眠れなかったりという不眠の悩みを持つ方は多くいます。そういう症状が出たときこそ、漢方をおすすめします。
今回は、眠れないという悩みに合わせて漢方薬を紹介します。詳しくは、専門医への相談をお勧めしますが、自分の症状にはどのような漢方薬が良いかというのを知っておきましょう。

眠れないとお悩みの方におすすめの漢方

・抑肝散(ヨクカンサン)
基本的には赤ちゃんや子供向けにも使用される漢方で、夜泣きや痙攣などに用いられています。大人には、イライラ感を抑える作用から気持ちを安定させるときに効果的です。
精神病や神経疾患の方に出す薬の補助として処方されることもあるものです。
【ブレンドされている生薬】
柴胡(サイコ)
釣藤鈎(チョウトウコウ)
蒼朮(ソウジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
当帰(トウキ)
川芎(センキュウ)
甘草(カンゾウ)

・酸棗仁湯(サンソウニントウ)
気持ちの高ぶりを抑えてくれる漢方薬です。繊細な心を持っている人にも効果的でしょう。また、体力があまりないときにも使用できるため、年配の方がなかなか寝付けない場合などにもおすすめ出来ます。
気持ちを穏やかにしつつも、体力を取り戻してくれる漢方になります。
【ブレンドされている生薬】
酸棗仁(サンソウニン)
知母(チモ)
茯苓(ブクリョウ)
川芎(センキュウ)
甘草(カンゾウ)

・加味帰脾湯(カミキヒトウ)
心身共に疲れて、色々と悩んでしまい眠れないときにおすすめの漢方薬です。食欲が出ない場合にも使用できて、ストレスで弱っている胃腸を回復してくれます。
気持ちを安定するだけでなく、貧血状態や緊張状態などを緩める効果も期待できます。
【ブレンドされている生薬】
人参(ニンジン)
蒼朮(ソウジュツ)か白朮(ビャクジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ)
大棗(タイソウ)
酸棗仁(サンソウニン)
竜眼(リュウガン)
遠志(オンジ)
当帰(トウキ)
黄耆(オウギ)
木香(モッコウ)
柴胡(サイコ)
梔子(シシ)

・桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)
もともと風邪の予防に使われる漢方がふんだんにブレンドされている漢方薬です。体を温めて血の巡りを正常にしてくれるので、ぐっすりと深い眠りに導いてくれます。悪夢で悩んでいる方にもおすすめ出来る漢方薬です。また、子供のおもらしを防ぐ効果もあります。
【ブレンドされている生薬】
桂皮(ケイヒ)
竜骨(リュウコツ)
牡蛎(ボレイ)
芍薬(シャクヤク)
生姜(ショウキョウ)
大棗(タイソウ)
甘草(カンゾウ)

・加味逍遙散(カミショウヨウサン)
イライラや不安を抑え、気持ちを落ち着けてくれる漢方薬です。主に婦人科系の悩みに使用されることが多いでしょう。眠れないという悩みでも、理由が分からなかったり、理由がありすぎる場合などにはこの漢方薬がおすすめです。
更年期障害や生理痛などで眠れないという場合にも使用できる漢方になります。
【ブレンドされている生薬】
柴胡(サイコ)
芍薬(シャクヤク)
蒼朮(ソウジュツ)
当帰(トウキ)
茯苓(ブクリョウ)
山梔子(サンシシ)
牡丹皮(ボタンピ)
甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ)
薄荷(ハッカ)

自然な睡眠を導く方法

不眠症は普段の生活も顧みる必要があります。
睡眠を自然なかたちでとるためには以下のような対応が必要です。

・寝室・寝具を自分に合ったものにする
・規則的な生活と同じ時間に床に入る習慣
・ストレッチやぬるめの湯で血行を促進、体を適度に温める
・気分をリラックスさせる
・カフェインをとらない(覚醒作用・利尿作用があるため)
・起床後は太陽の光に当たり、体の切り替えをスムーズにする
・昼間は活発に動く

それでも眠れない場合

医師の指導のもと睡眠薬(睡眠導入薬)を用います。
処方には睡眠のタイプや重症度、原因等も判断して適切な睡眠薬が決まります。

睡眠薬の他にも、不安が強い場合は”抗不安薬”を用いることもあります。

さいごに

漢方薬は不眠の処方に限らず、四診で病気の症状を測り「気・血・水」や「実証、虚証」といった患者さんの体質・体調等も総合的に考慮して処方されます。

不眠症の改善に漢方薬を服用する際も、自分で薬を判断するのではなく医療機関や漢方専門店に伺ってから試すようにしましょう。