漢方薬に使われる「りんどう」

青紫色の釣鐘の形をした花を咲かせる「りんどう」は、漢方薬に使われている植物です。漢方薬で使われるのは花ではなく「根」の部分で、竜胆草、竜胆、胆草などとよばれます。りんどうの根は貴重な薬であるため、名前自体に「貴重なもの」を示す「竜」の字がつくようになりました。

「りんどう」の根「竜胆草」は清熱薬

りんどうの根「竜胆草」には、からだの中の熱をさます働きがあります。漢方薬はからだの状態「証」にあわせて使いわけができるよう研究されてきた薬ですので、使う場合にも証を見極めることが大切です。「陰陽」や「虚実」といった漢方の考え方に基づくと、熱とひとくちにいっても、すべてが同じ熱ではありません。陰陽の陰がたらないと陽をおさえることができずに「虚熱」という熱があらわれます。また虚熱ではない実熱の場合でも、その熱がある場所により、たとえば気分の実熱、血分の実熱というように分けられます。また、単に熱があるだけではなくて湿を伴っている場合には湿熱と表現されます。赤痢など毒のような感染症による熱の場合もあります。このように熱といってもさまざまなものがあります。
このような熱のうち、りんどうの根「竜胆草」がさます熱は、湿熱に分類されるものです。特に肝胆湿熱という種類の熱によっておこる症状、たとえば、からだが黄色くなる黄疸、陰部のかゆみ、おりもの、湿疹などに効果があります。また、肝胆の熱がもとで目が赤くはれたり、からだの脇が痛くなったり、耳が聞こえづらくなったりなどの症状にも使われます。加えて、さらに高い熱が出て、ひきつけや痙れんを起こした場合にも竜胆草は使われます。
なお、竜胆瀉肝湯は、陽がたりなくて脾胃が冷えている脾胃虚寒の人には使ってはいけません。

「りんどう」の根「竜胆草」が使われている竜胆瀉肝湯

「りんどう」の根「竜単草」は他の生薬と組み合わせて使われます。ここでは竜胆草を含む代表的な漢方薬「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」をご紹介しましょう。竜胆瀉肝湯には含まれる生薬は下記のとおりです。竜胆草のほかにも、熱をさます性質がある生薬が使われていますが、主な働きをするのは竜胆草といってよいでしょう。
・竜胆草(りゅうたんそう)…肝胆の実熱とからだの下のほうの湿熱をとりのぞきます。
・黄芩(おうごん)…熱をとりのぞきます。
・山梔子(さんしし)…熱をとりのぞきます。
・沢瀉(たくしゃ)…熱をとりのぞくとともに利尿作用があります。
・木通(もくつう)…からだの上にあがった熱をおろすとともに利尿作用があります。
・車前子(しゃぜんし)…熱をとりのぞくとともに利尿作用があります。
・当帰(とうき)…血を養い、流れをよくします。
・地黄(じおう)…陰を補います。
・柴胡(さいこ)…肝胆のはたらきをスムーズにします。
・甘草(かんぞう)…生薬の働きを調和させます。
これらの生薬を組み合わせた竜胆瀉肝湯は、(五臓六腑の)肝胆の熱がからだの上のほうにあがったことでおこる症状(片頭痛、からだの脇の痛み、口が苦い、目が赤い、耳が聞こえづらい、舌が赤いなど)や、湿熱によっておこる症状(尿がにごる、尿が赤い、排尿するときの痛み、陰部がかゆい、おりものなど)に効果をあらわします。

症状で探す漢方一覧

漢方薬は病気・症状で選ぶのではなく、服用する人の体質・体調に合った処方が必要です。

漢方薬の種類も自分で判断することなく、漢方に熟知した先生等に相談した上で選びましょう。

風邪の諸症状には

●風邪のひきはじめ
葛根湯(かっこんとう)
香蘇散料(こうそさんりょう)
麻黄湯(まおうとう)

●せき
銀翹散(ぎんぎょうさん)
参蘇飲(じんそいん)
五虎湯(ごことう)
麦門冬湯(ばくもんとうとう)

●のどの痛み
甘草湯(かんぞうとう)
桔梗湯(ききょうとう)
銀翹散(ぎんぎょうさん)
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

●夏の感冒、下痢
藿香正気散料(かっこうしょうきさんりょう)

●寒け・吐き気等のある風邪
柴胡桂枝湯液(さいこけいしとうえき)

●発熱、頭痛、悪寒
川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)

●風邪・インフルエンザの回復期に
竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)

高血圧には

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
七物降下湯(しちもつこうかとう)
大柴胡湯(だいさいことう)
釣藤散料(ちょうとうさんりょう)
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
防風通聖散料(ぼうふうつうしょうさんりょう)

花粉症・鼻の諸症状には

●花粉症・鼻水・鼻炎に
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

●慢性鼻炎
葛根湯加川キュウ辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

目のトラブルには

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
牛車腎気丸料(ごしゃじんきがんりょう)
八味地黄丸料(はちみじおうがんりょう)

肌トラブルには

●いぼ、皮膚の荒れ
ヨクイニン

●しみ・そばかす
桂枝茯苓丸料加ヨク苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)

●やけど・きず
紫雲膏(しうんこう)

●湿疹・皮膚炎
越婢加朮湯(えっぴかじゅっつとう
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
消風散料(しょうふうさんりょう)
漢方十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
当帰飲子(とうきいんし)

●肌あれ・ニキビ
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
桂枝茯苓丸料加ヨク苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

不眠・不安の症状には

●疲れやすい人の不眠・不安に
加味帰脾湯(かみきひとう)

●ストレス等でイライラする人の不眠・不安に
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

●興奮しやすい人の不眠
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

●めまい、ふらつき
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

●動悸、不眠
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

●のどの異物感、不安
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

●動悸、息切れ
虔脩本方 六神丸S(けんしゅうほんぽう ろくしんがん えす)

疲労倦怠、食欲不振には

高麗人参(こうらいにんじん)
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

便秘には

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
大柴胡湯(だいさいことう)
調胃承気湯(ちょういじゅうきとう)
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
防風通聖散料(ぼうふうつうしょうさんりょう)
麻子仁丸料(ましにんがんりょう)