もともとの漢方薬は煎じ薬

漢方薬は医師の90%以上が処方していますが、処方される漢方薬はほとんどの場合がエキス顆粒製剤といってもよいでしょう。もともと漢方薬は、生薬を何種類が一緒に煎じて濃縮してつくるものです。エキス顆粒製剤は、液体の漢方薬を顆粒の形にかえたものですので、インスタントコーヒーをイメージするとよいかもしれません。お湯に溶かしてから飲むことができるのです。もちろんエキス顆粒をそのまま水で飲んでもよいのですが、お湯を加えて溶かすと、あたたかくして飲むことも冷まして飲むこともできるようになります。

漢方薬の温服と冷服

西洋薬の場合、薬を飲むときにはコップ1杯(約180mL)の水で飲むと、食道につきやすい薬でもスムーズに飲むことができます。漢方薬の場合は、もともとの煎じた状態は液体ですので、あえて水で飲む必要はなかったのですが、飲みやすいようにつくられたエキス顆粒製剤の場合は水で飲んでいることが多いでしょう。
漢方薬の原典をみると、たとえば、かぜのときに飲む桂枝湯(けいしとう)は、『傷寒論(しょうかんろん)』という原典に、「煎じて温かいうちに服用する」ということが書かれています。桂枝湯は寒(冷え)がからだに入ってこようとするために症状が出ているときに飲む漢方薬であるため、温かいうちに飲んで汗で冷えをからだの外にだしたほうがよいということをいっているものです。桂枝湯では、汗を出す効果を高めるために、「熱いおかゆを食べて、掛け布団をかけて汗をだしましょう」という注意書きまでされているように、冷えがからだに入ってきたときには、漢方薬はあたたかいものを飲むのが基本となります。ですから、エキス顆粒製剤でも、お湯で溶かしてから飲むとよいでしょう。これを温服といいます。
逆に、冷服といいますが、漢方薬を冷やしてのんだほうがよい場合もあります。熱がからだの中に入ったとされる病気のときです。ただし、熱がからだに入ったためにおこった病気でも、重症の場合は漢方薬をあたためて飲むこともあります。

冷服したほうがよい漢方薬

煎じてつくった漢方薬でもエキス顆粒製剤をお湯で溶かした場合でも、冷えてから冷服したほうがよい漢方薬には次のようなものがあります。
・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)…高熱になったばかりで汗が出て口がかわき脈に力がないようなときに、のむ漢方薬です。
・小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)…つわりで吐き気や嘔吐をするときに飲む漢方薬です。
・五苓散(ごれいさん)…口がかわいたり尿の量が少なかったりするときに飲む漢方薬です。からだの中の水分の配分を整えてくれます。二日酔いにもきくとされています。
・立効散(りっこうさん)…抜歯後の痛みに使う漢方薬です。口に含んで患部にいきわたらせ、ゆっくりと飲むことで、痛みを和らげる効果が高まります。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)…からだの中の熱が高かったり、喀血、吐血したりするようなときに使う漢方薬です。
このように、熱があるなどで口がかわくときや吐き気がある場合には、冷服します。漢方薬はあたたかい状態で飲んだり、冷まして飲んだりすることで、効果が高まります。漢方薬の効果にあわせた飲み方を覚えておくとよいでしょう。