漢方(東洋医学)は西洋医学の薬と異なり、病気に対してではなく体調を元に戻して自然治癒力を高めることに着目しています。

しかし、近年手軽に購入できるようになった漢方は、自分の体質・体調と合わない漢方薬を服用することで誤った処方をされている人もいます。

漢方と医学の進歩

近年の医療の発展は、家族との時間の共有が増えて、その影響は健康・自己管理の意識へも及んでいます。

そしてマスコミやメディアでは、多くの人が漢方の情報を断片的に知ることができるようになっています。

漢方と体質

漢方を選ぶ際には、西洋医学のように単に症状や病名が適合しているという理由だけで選ぶことはできません。

季節や体力の度合い・冷え性(暑がり)・諸症状といった多くの項目を測る”ものさし”によって判断できるのです。

その中でも寒熱弁証は正しく認識されていないことが多いといわれています。

寒熱弁証(かんねつべんしょう)

寒熱弁証とは病気の性質を区別するものです。

●寒証(かんしょう):寒さを嫌って暖かい飲食物を取りたがる・味覚がない・水を飲みたがらない・顔色蒼白・手足が冷たい・尿の色は透明で多尿・泥状便・舌淡・苔白・脉が遅い(早い)等

●熱証(ねっしょう):熱を嫌がり凉を好む・顔色が紅色で手足に熱がある・口渇で冷たい物を飲みたがる・イライラしてよく話す・赤っぽい尿・便秘・舌質は紅色で舌苔は黄色・脈数等

他にも”虚熱証”は長患い・性生活の不節制・過労による腎精や陰液消耗等があります。

直接の診断が大切

漢方は電話でどの種類の漢方を選ぶか相談されたり、服用する人以外の人が購入することで誤った漢方薬を服用してしまうことがあります。

そのため漢方を選ぶときには直接患者さんの様子を目で見て症状等を聞く必要があるのです。
またサプリメントや他の薬との影響も考えなければなりません。

質問項目の例:疾病の状況や飲食、顔色、寒熱、大小便の状態、悪化する原因、発病時間、舌の色等

法律が整備されていない

西洋医学では整備されてある法律も、漢方では整っておらず、時には偽物の漢方薬が体に不必要な成分まで摂取してしまう恐れがあります。

また中国製の偽物の漢方薬が死亡者を出したこともあります。

この背景には、日本人の漢方(中国産の生薬)への絶対的な信頼やマスコミの情報の煽り方、不必要なダイエット願望等があります。

漢方も食品と同じように「健康食品の監視体勢の強化」や「被害者の追跡調査」を行うことで、より安心できる漢方で体を健康に保つことができるようになるでしょう。

漢方の医薬品表示

消費者もできれば中国製品よりも日本製品の高品質で割安な漢方薬を選ぶ必要があるかもしれません。

中国製品のものでも、日本の厚生労働省が認可の「医薬品表示」に日本語の効能書きがあるものを選べば安心して利用できます。

漢方(エキス剤・煎じ薬)の持ち歩きには

漢方薬は大きく2種類に分けられます。

1.エキス剤…漢方の生薬の成分を抽出して、それを飲みやすく顆粒や粉状にしたもの。

2.煎じ薬…生薬から自分で煎じて、液体として服用するもの。

主に医療機関で処方される漢方薬は主にエキス剤で、持ち歩きにも便利なものとなっています。
しかし煎じ薬は液体であることから、仕事などの持ち歩きには悩む人も多いようです。

服用方法

一般的な漢方薬は、食前(30 分~1 時間前)または食間等の空腹時に服用します。
体調が悪く空腹時の服用で気分が悪くなるようなときには食後に服用します。

冷めた薬や冷蔵庫で冷やした漢方薬は温めなおす、お湯を足す等して温めましょう。
※電子レンジでの温めなおしは薬の効果を変化させます。

漢方薬は温かくして飲めば、顆粒は溶けてより高い効果が期待できます。
また体を温めることで血流が良くなり、漢方の吸収も早くしてくれます。

服用回数と時間帯

漢方薬は基本的に朝・昼・晩の3回服用することが多いです。

しかし、処方によっては1日に2回に分けて服用、1/3量等、服用回数や量が異なる場合もあります。

漢方薬の持ち歩きには、服用する時間等も個々に確認して用意しましょう。
漢方薬・生薬は、溶かしたり煎じたその日のうちに服用するのが望ましいです。

漢方と持ち歩き

1回に飲む量の目安は80~120mlになります。
容器はドリンク剤等の空き瓶、小さいペットボトルでも大丈夫です。

保温ポットであれば長時間温めておくことができます。

煎じ薬は成分の抽出に時間がかかるので、翌日分を前日に準備しておくと良いようです。

顆粒タイプの漢方薬

漢方は一般的に漢方薬の顆粒をお湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むと良いとされています。

顆粒等のエキス剤は、白湯で顆粒を溶かしてから保温ポットに入れておくのもおすすめです。
吐き気等の体調が優れないとき等はお水で服用します。※忙しいときの服用もお水で可。

白湯は、一度沸騰させたお水を40度前後に冷ましたものが望ましいとされています。
※沸騰させることで、水に含まれる不純物が消えて、漢方を服用するときの口当たりも良くなります。

職場等には予め顆粒を溶かしたものを持ち歩くと、忙しいときにも簡単に服用できて便利です。

保存方法の注意点

梅雨時や夏場の熱い時には必ず冷蔵庫に保存しましょう。

生薬は常温で保存して、梅雨時や夏場は冷蔵庫で保存します。
※このときアルミホイルで袋ごと包むとより良いです。

まとめ

漢方薬は煎じ薬にすることでより生薬本来の味を楽しむことができたり、本来の生薬の効能をそのまま得ることができるメリットがあります。

※エキス剤の漢方薬の有効成分は煎じ薬の70%以上です。

そして”温かい液体の漢方薬”が薬の効果を高めて、体にも吸収しやすくしてくれます。

生薬も食べ物と同じで質の良いものとそうでないもの、価格・効果・生薬の刻み方でそれぞれ大きく異なります。

煎じ薬の生薬も、より自分に合ったものを選んで健康な毎日を過ごしましょう。