胃腸が弱った時に適応される漢方薬「厚朴生姜半夏人参甘草湯」

厚朴生姜半夏人参甘草湯は、胃腸虚弱や胃腸炎、嘔吐やげっぷに用いる漢方薬です。あまりにも長い名前でなのでどう読んだらいいのか、どこで区切れるのか分かりづらいかもしれません。「コウボクショウキョウハンゲニンジンカンゾウトウ」と読み、実は配合生薬すべてを羅列した名前となっています。つまり、厚朴、生姜、半夏、人参、甘草という5つの生薬が配合されていることを表しています。

いずれも弱った胃腸に力をつけ、水停を解消する生薬です。逆に言えば胃腸以外に働く成分はほとんどありません。ひたすら胃腸の不調に特化した漢方薬と言えます。「胃腸を滋養しながら同時に他の臓器の不調も治す」漢方薬が他にたくさんあるので、厚朴生姜半夏人参甘草湯を単体で処方されることは少ないかもしれません。

ただし、胃腸は身体の中心部にあり、身体を動かしたり病気から身を守ったりするのにかかせないエネルギー「気」を生産する臓器です。身体を健康に保つためには、まず胃腸を元気にすることが大切です。

厚朴生姜半夏人参甘草湯の生薬について

・厚朴(コウボク)…モクレン科ホウノキの樹皮を乾燥したものです。アルカロイドの一種マグノクラリンを含み、腹部膨満を解消します。そのほか整腸作用、利尿作用があり、消化不良や嘔吐、下痢を止めます。

・生姜(ショウキョウ)…食卓でも身体を温める食材としておなじみのショウガです。健胃、発汗、食欲増進作用があり、身体を温めます。

・半夏(ハンゲ)…サトイモ科カラスビシャクの球状根茎を乾燥したものです。消化器や肺に働く温性の生薬で、鎮嘔、鎮静、鎮咳作用を持ち、湿気を取り除きます。

・人参(ニンジン)…いわゆるチョウセンニンジンで、滋養強壮の薬として名高い生薬のひとつです。高い疲労回復作用があります。新陳代謝機能の改善、消化不良、嘔吐、下痢、食欲不振に効果があります。

・甘草(カンゾウ)…マメ科カンゾウの根を乾燥させたものです。ありとあらゆる漢方処方に配合されている重要な生薬で、主な薬効は鎮痛、鎮咳、去痰、解熱、消炎、鎮静、健胃、強壮となり、痛みを鎮めつつ気力体力をつけてくれることから病中病後の弱った身体への処方には欠かせません。補虚・補気(滋養強壮)の代表的な生薬です。

厚朴生姜半夏人参甘草湯の効能

厚朴と半夏はどちらも吐き気に有効な生薬です。消化管の痙攣を和らげ、胃内に水が滞っている状態を解消して腹部膨満感や嘔吐感を抑えます。また胃腸に起こった炎症を鎮める効果があり、食中毒、過敏性胃腸炎、胃酸過多といった様々な原因による腹痛に使用できます。

生姜、人参、甘草は弱った胃腸を温め元気づける生薬の代表的な組み合わせで、お腹を温めることによって胃腸の働きを亢進させ、滋養を与えて体力をつけます。これにより、胃腸炎の原因となる冷えや体力の低下を改善します。

虚弱な人というのは、胃腸機能が弱っている場合が多いです。それは生命エネルギーである「気」の不足につながり、様々な不調の要因となります。そのため、虚弱な人に用いられる漢方薬には胃腸に働く生薬の組み合わせがよく用いられます。

厚朴生姜半夏人参甘草湯の使用法

医療用や一般向けとしてのエキス剤はほとんど流通していません。漢方薬局などで処方される場合、1回分ずつに分けられた生薬の和紙袋で渡されますので、1袋を指定量の水に入れて煮出します。水分が半量になるくらいまで煎じたら、煎じかすを濾し、薬液を1日3回に分けて服用します。

副作用などはあるか

甘草を含む処方なので、生薬特有の副作用である「偽アルドステロン症」に注意します。むくみや高血圧などがおこる場合があります。また、人参による強壮作用が強いため、もともと高血圧などの持病がある人は使用しないほうが無難でしょう。

お酒の飲み過ぎには漢方で肝臓回復

忘年会シーズンや、新年会シーズン、夏のビアガーデン、会社の付き合いでの飲み会、様々なケースで飲みの場が開かれています。特に会社の飲み会など、断りづらいものも多くあります。
飲み過ぎてしまうと、負担がかかってくる臓器と言えば肝臓です。肝臓は、別名サイレントキラーと呼ばれていて、痛みを感じづらい臓器になります。そのため、肝臓が悪くなったことに気付かずに悪化し、痛みが出ることには体に様々な障害が出てきてしまうのです。
そうならないために、飲み過ぎてしまうとわかる場合は漢方で早めに癒してあげましょう。また、初めての方や薬を飲んでいる方、効果が分からない人などは専門医に相談してから服用してください。

飲み過ぎにおすすめの漢方

・小柴胡湯(ショウサイコトウ)
肝機能障害改善に効果的だということが照明されている漢方薬です。
炎症を抑え、免疫力を高めてくれるため、肝臓以外にも風邪のケアや術後の回復などにも効果的です。
この漢方薬に含まれる甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬と併用して飲むと、摂取しすぎによって偽アルドステロン症の副作用が出る場合があるので注意してください。
【ブレンドされている生薬】
柴胡(サイコ)
黄ごん(オウゴン)
半夏(ハンゲ)
人参(ニンジン)
甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ)
大棗(タイソウ)

・大柴胡湯(ダイサイコトウ)
体力のあるガッチリタイプで便秘になりがちの人におすすめ出来る漢方薬です。肝臓や胆のうの病気などに効果的です。
さらに、中性脂肪やコレステロールを減らすという嬉しい作用もあると言われています。消化器系に働きかけてくれます。
【ブレンドされている生薬】
柴胡(サイコ)
黄ごん(オウゴン)
半夏(ハンゲ)
枳実(キジツ)
大黄(ダイオウ)
芍薬(シャクヤク)
生姜(ショウキョウ)
大棗(タイソウ)

・六君子湯(リックンシトウ)
胃腸が弱く、飲み過ぎで胃もたれや胸焼け、下痢などの症状が出ている時におすすめの漢方薬です。慢性肝炎や肝硬変でも使用される漢方薬なので、肝臓にもきちんと働きかけてくれます。
胃もたれや、胃に水が溜まって上手く排出できていない感覚があり、なんとなくだるさが抜けない時にも効果的です。胃腸に関係する漢方をお探しの方はこれをおすすめします。
【ブレンドされている生薬】
蒼朮(ソウジュツ)か白朮(ビャクジュツ)
茯苓(ブクリョウ)
人参(ニンジン)
半夏(ハンゲ)
陳皮(チンピ)
大棗(タイソウ)
生姜(ショウキョウ)
甘草(カンゾウ)

・補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
肝臓の治療によって疲労してきたときにおすすめの漢方薬です。
治療となると、食欲がなくなったり、エネルギーを作り出しづらくなります。そのサポートには最適の漢方薬でしょう。
【ブレンドされている生薬】
人参(ニンジン)
黄耆(オウギ)
蒼朮(ソウジュツ)か白朮(ビャクジュツ)
柴胡(サイコ)
当帰(トウキ)
升麻(ショウマ)
陳皮(チンピ)
生姜(ショウキョウ)
大棗(タイソウ)
甘草(カンゾウ)

・茵陳蒿湯(インチンコウトウ)
胆汁に働きかける作用のある漢方薬です。胆汁は、肝臓から分泌されるもので、これの以上の時には茵陳蒿湯(インチンコウトウ)がおすすめです。
【ブレンドされている生薬】
茵陳蒿(インチンコウ)
山梔子(サンシシ)
大黄(ダイオウ)