「薬膳」と聞くと難しい材料や技術が必要な料理と考えがちですが実は季節に沿った身近な食材を使って健康に暮らすことを指します。その考えに基づけば簡単に家庭で取り入れることができる薬膳について詳しくご紹介していきます。

食生活で健康を目指す「薬膳」

中国では実に2,000年以上も前から「健康は食生活から」という考え方が根付いているといわれています。私たちが自然と日々心がけているこの考えを学問にしたものが薬膳です。

「医食同源」や「薬食同源」という言葉はまさにその考えを表したもので、「病気を治療するのも日常の食事をするのも、ともに生命を養い健康を保つために欠くことができないもので、源は同じ」という考えのもとに薬膳は成り立っています。この基本的な思想に沿って中医営養学と料理学を沿わせ、食物と中薬と呼ばれる漢方薬の原料となる生薬を組み合わせて作る料理を薬膳と呼びます。

薬膳の主な目的は健康を保ち、身体を強くすること、さらに疾病の予防や治癒回復を早めることにあります。さらに老化防止も目指していきます。

身近な薬膳、しょうが

薬味や臭み消しなどに日常には欠かせないしょうがも実は薬膳でよく使われる食材のひとつです。しょうがはそのままだと野菜ですが、乾燥させることで「生姜(しょうきょう)」とよばれる中薬になります。中薬とは日本で言う漢方薬のことを指します。

例えば私たちが身体を温めるためにしょうが入りの紅茶を飲むという行為は実は薬膳における考え方でなのです。食物としても生薬としても使える優秀な食材であるしょうがはさまざまな薬膳に登場します。

組み合わせによる効果

季節や心とのバランスを取りつつ、その時や各個人の体質や体調によって食材や調理法を考えることを基本とする薬膳にとって大切なのは組み合わせです。組み合わせに良いものと悪いものが存在します。

例えば同じような効能を持つ薬物や食材同士が合わさって治療作用を高めることを「相須(そうす)」と呼びます。さらに「相使(そうし)」は1つの食材をメインにして他の食材がメインの効能をより一層引き立てて高めることを言います。血流を良くするにら(引き立てる食材)と、血液を補うレバー(メイン)を組み合わせたニラレバがこれにあたります。「相殺(そうさつ)」はある1種類の食材が、ほかの中薬や食材の副作用や毒性を緩和してくれるはたらきです。

上記のように良い効果をもたらすものもあればそうでないものもあります。「相悪(そうあく)」はふたつの薬物や食材をあわせることで、治療作用が弱まってしまうことを指します。さらに「相反(そうはん)」はふたつの薬物や食材をあわせることによって、激しい毒性や副作用を引き起こすもので組み合わせない方がよい食材同士の関係です。例えばカニと柿のように両方とも身体を冷やしてしまう食材を組み合わせることでひどい時には下痢を引き起こすこともあります。

このように食材の組み合わせの良し悪しを知ることで効果を増幅することも減少させてしまうこともあるのです。

薬膳の「五性」

薬膳で言う「五性」とは「熱」「温」「平」「涼」「寒」で、にんにくのように身体を強く温める「熱」、しょうがのように身体を緩やかに温める「温」、きゅうりやスイカのように急激に冷やす「冷」、セロリのようにそしてゆるやかに冷やす「涼」さらにそれらに属さない身体を養う「平」に分類されています。

これらを体調や季節によって選択し組み合わせることで健康を目指すのが薬膳の考えです。

アンチエイジング効果もある蕎麦で来年も生き生きと!

蕎麦は食物繊維を豊富に含むため、整腸作用、弱った胃腸の機能を回復させ活性化させる効果があります。また、疲労回復に効果のあるビタミンB1も含まれています。ビタミンB1が不足すると糖質がうまくエネルギーにならないため疲れやすかったり体がだるいなどの症状が現れます。「最近ちょっと疲れ気味だな。食欲がないな。」と感じている人には蕎麦はぴったりです。

ただし、蕎麦には体を冷やす効果もあります。体にこもった余分な熱を鎮め、体の老廃物を取り除き毒素を分解する効果は糖尿病や生活習慣病予防には有効ですが、体調が悪い時に体を冷やすのは良くありません。

体調が悪い人やもともと冷え性の人、胃腸が弱い人は食べ過ぎに注意し、できるだけ温かいお蕎麦を食べるようにしましょう。

アンチエイジング効果もある?!

老化は細胞の酸化が影響していると考えられています。また、生活習慣病のひとつである動脈硬化も血中のLDLコレステロールの酸化によっておこると考えられています。

この酸化を防ぐ抗酸化作用を持つビタミンEを摂ることで老化や生活習慣病の予防になるというわけです。そして蕎麦にはこのビタミンEが豊富に含まれています。

昔の人は蕎麦に老化を予防する効果があることを知っていたのでしょうか。だとすると年越しそばに健康長寿の願いが込められているという言い伝えもしっくりきますよね。

年越しには体を冷やさないように温かいお蕎麦を食べて、いつまでも若々しくいられるように願いを込めましょう。

生活習慣病を気にしている人は、お酒の席で「シメで麺類を食べたいけど、ちょっとお酒を飲み過ぎてしまったし・・・」と思った時は、蕎麦にしてみましょう。

普段から何気なく食べているお蕎麦には、たくさんの栄養が詰まっています。

今の様に栄養素の研究はなかったにもかかわらず、昔の人が健康を願って摂っていた食物には必ず根拠があります。「食養生」という言葉があるように、栄養を考えて食することは健康維持や長寿や若さにつながります。

新年にむけて、お蕎麦を食べながら少しだけ健康について考えてみましょう。